Bohemian’s Blog

BohemianS による、あれやこれやの雑記ブログ

京都 京都市 『大三元の餃子』

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嵐山近くを流れる保津川で、我々は小鮎を狙いにいったが、芳しい釣果をあげることはできなかった。

しかし、冷たい川の水を感じ、水面に照らされた光に目を細め、保津川下りの舟の船頭に「原住民です」などと紹介されたりしたあの記憶は、その1年最後の夏を締めくくる素敵な記憶であり、思い出だった。

まさに夏の終わり。

釣り具を片付け、川砂で汚れた足を、また川の水で洗いながら、我々は嵐山の温泉へ向かった。

ひと風呂浴びたあとの、まどろみの中で、ふと誰かが言った。

「餃子が食べたい」

――餃子かぁ。などと、私はぼんやり考えていた。そういえば、ここ最近、餃子を食べていない。

別に食べないとどうというわけでもないが、この感覚は忘れしまっていた身近なものを思い出したときの感覚に近い。

「じゃあ、食いにいくか」

渇望していたわけではないが、そう言葉にしてみると、私の口はもう餃子しか受け付けなくなってしまっていた。

夕闇が空を覆いだした頃合い。古びた集合住宅や一軒家に挟まれた1車線道路を南に向かって歩いていくと、薄暗く光る看板の、小さな中華料理屋が見えた。

大三元。「三」の字の光が消えてしまっているのが何とも愛らしく思える佇まいだった。店は、夫婦で切り盛りしている様子だった。

小さな店内の隅、テレビ台の真下にある席に座り、目当てのものを注文すると、しばらくしてテーブルに並べられたのは、小ぶりで食べやすい大きさの焼き餃子だった。

一口で放り込めば、パリッとした皮を噛みしめる。じゅわりと広がった餡の旨みがそのまま喉を鳴らす。タレにつければ、芳醇で香り高い風味が出て、また一つ、また一つとつまむ箸が止まらない。

気付けば、皿の上に控えめに乗せられていたはず餃子たちは消え去っていた。

ああ、餃子ってやっぱりおいしいな。そんな風に思わせてくれる一品だった。

 

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